蜜柑とアイスの共存

灰崎くんと

*ゲーセンなう
 某呟きSNSサイトにそう投稿し、携帯を閉じる。
 さて、ひとより超学がよく、秩序なくあふれる音は特に苦手といっていい佑がなぜこのような場所にいるのか。それは、ちょうど佑を見つけ向かってきた者がいるからだ。
「アズセンパイ」
「よ、元気だったか?」
「まーな、今何してたんだよ」
「……あぁ、メールだ」
 わざわざSNSと答えることもないだろうと、だが大体同じだろうとごまかす。
「ふーん……リョータとか?」
「まぁそんなとこだ」
 モデルの黄瀬涼太アカウントをフォローしているので、間違いではない、はず。
 それに形だけの相槌を灰崎はうつが、何かに閃いたように口元を歪ませ佑の携帯をひったくり、なにやら操作を始める。
「ちょ、灰崎何すんだ」
「カメラってどうすんだ? ……お、あった」
 取り返そうとする佑をかわし、カメラモードに切り替えた携帯を向けた。
 方を組まれたためずしりと加わる重みに方を曲げつつ佑は怪訝そうな表情。
「オラ、笑えよ」
「いやよくわかんねーよ」
 とはいっても、灰崎は合うたびよくわからない言動を繰り返す。
 まぁいいか、と半ば無理やり納得し隣にいる灰崎に習い――いや、あのような悪どい笑みではないが――佑も口角を上げ、カシャーンという気の抜けるシャッター音を聞きつけ、携帯の液晶画面を覗きこんだ。
「画面見えないのにお前やたら自撮り上手くね?」
「こんぐらい誰でもできんだろ。この写真リョータに送ってやれよ」
「おー……?」
 メールの送信画面を立ち上げられ、携帯を押し付けるように返された。
 送信先を選択しようと画面をみやると、送信履歴の一番上に証の名前があり、そういや今日キセキで集まるって言ってたな。とぼんやり思い出す。
 なら当然黄瀬も一緒にいるだろうと決定ボタンを押し、簡単な文面と共に送信。
 すぐどこにいるのかと返信がきたため、それに返し、携帯をしまった。
「んで、どうする? メダル系はうるさいから却下な」
「わぁってる、音ゲーいこうぜ音ゲー」
「音ゲーかよ……ま、いいか」
 灰崎にとってキセキたちの邪魔が入るまで、あと数十分。